今回は、「聞く」「聴く」「訊く」の違いを整理した後で、「心理療法として”聴く”際に必要な工夫や配慮」について自分の言葉で説明できるようにまとめていきたいと思います。
「聞く」「聴く」「訊く」の違いとは?
【聞く】:音声を耳に入れること
【聴く】:熱心に耳を傾けること
【訊く】:質問すること
カウンセリング場面においてクライエントの語りを「きく」ことを考えるとき「心理査定」「心理療法」の二つの場面を区別するべきである!
心理査定においてクライエントの語りを「きく」は、「訊く」である!
心理査定においてクライエントの語りを「きく」ことの目的は、情報収集である。
生物心理社会モデルに基づいて、クライエントから多角的に情報を収集することが必要なので、クライエントに語りたいように語らせるだけでなく、カウンセラーからも必要に応じて質問を投げかけなければならない。
つまり、心理査定という場面における「きく」という行為は、「訊く」なのである!
心理面接においてクライエントの語りを「きく」は、「聞く」である!
心理面接においてクライエントの語りを「きく」ことの目的は、治療的な効果を期待する行為である。
来談者中心療法において「傾聴」が治療行為中心であるように、カウンセラーは余計なアドバイスなどせず、受容・共感的な態度でクライエントの語りを全面的に受け入れることが必要とされる。
つまり、心理面接という場面における「きく」という行為は、「聴く」なのである!
心理療法として「聴く」際の工夫や配慮として必要なことはロジャースの来談者中心療法におけるカウンセラーの3条件として提示されている!
カウンセリングにおいて「聴く」ことは、自分のためではなく、全面的にクライエントのための行為である。
そして、クライエントを一人の人間として尊重し、クライエントに積極的に関わろうとし、クライエントを本気で理解しようとすることがカウンセリングにおける「傾聴」なのである。
カウンセラーに求めらる3つの条件(3つの態度)とは?
- 共感的理解(=クライエントの私的な内的世界をあたかもクライエント自身であるかのように理性的に感じ取ること!)
- 無条件の肯定的配慮(=クライエントのどのような側面に対しても一切の条件をつけることなく、全面的に肯定すること!)
- 自己一致(純粋性・真実性)(=カウンセラー自身が自己一致の状態にあること。そして、クライエントに対する態度が自分の本心に従った嘘偽りのないものであること!)
これら3つの条件(3つの態度)を満たす傾聴がなされることによって、クライエントはあるがままの自分とその問題に気づくことで自己理解を深め、自己受容が促進されることであるたままの自分を受け入れることができるようになり、自己実現が可能になる、といった治療的効果が表れるとされている。
(おまけ)カウンセラーは、精神分析における「平等に漂う注意」を払いながら傾聴することが望ましい!
フロイトは、精神分析を進めるうえで、カウンセラーがクライエントに対して「平等に漂う注意」を向けることが望ましいとし、クライエントが、「平等に漂う注意」を払いながら傾聴することで、クライエントの無意識や精神構造、防衛のあり方を解釈する糸口が見つかる、としている。
「平等に漂う注意」とは、クライエントの様子や雰囲気、語られる内容のすべてに対して等しく払われる注意のことである。
「聞く」「聴く」「訊く」の違いについて自分の言葉で説明してみた結果
(「聞く」「聴く」「訊く」それぞれの意味)
「聞く」とは、音声を耳に入れること、「聴く」とは、熱心に耳を傾けること、「訊く」とは、質問することである。
(カウンセリング場面における2種類の「きく」の説明)
カウンセリング場面における「きく」という行為は、「心理査定」「心理面接」という二つの場面によって区別される。
(「心理査定」における「訊く」の説明)
「心理査定」という場面における「きく」という行為は、「訊く」である。
そして、この心理査定における「訊く」という行為の目的は、情報取集であるため、生物心理社会モデルに基づいて、クライエントから多角的に情報を収集することが必要なので、クライエントに語りたいように語らせるだけでなく、カウンセラーからも必要に応じて質問を投げかけなければならない
(「心理面接」における「聴く」の説明)
心理面接という場面における「きく」という行為は、「聴く」である。
そして、この心理面接における「聴く」という行為の目的は、治療的な効果を期待することであるため、カウンセラーは余計なアドバイスなどせず、受容・共感的な態度でクライエントの語りを全面的に受け入れることが必要とされる。
「心理療法として”聴く”際に必要な工夫や配慮」について自分の言葉で説明してみた結果
【心理療法として”聴く”際に必要な工夫や配慮について自分の言葉で説明してみる!】
心理療法における「聴く」際の工夫・配慮として、来談者中心療法では、カウンセラーに3つの条件(3つの態度)が求められる。
一つ目は、「共感的理解」で、クライエントの私的な内的世界をあたかもクライエント自身であるかのように理性的に感じ取ることである。
二つ目は、「無条件の肯定的配慮」で、クライエントのどのような側面に対しても一切の条件をつけることなく、全面的に肯定することである。
三つ目は、「自己一致(真実性・純粋性)」で、カウンセラー自身が自己一致の状態にあること。そして、クライエントに対する態度が自分の本心に従った嘘偽りのないものであることである。
これら3つの条件(3つの態度)を満たす傾聴がなされることによって、クライエントはあるがままの自分とその問題に気づくことで自己理解を深め、自己受容が促進され自己実現が可能になる、といった治療的効果が期待されるのである。
つまり、心理療法としての「聴く」という行為は、全面的にクライエントのための営為行為なのである。
以上、この記事が私と同じように臨床心理士指定大学院を目指していらっしゃる方と共有できましたら幸いです。
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