今回は、「臨床心理的支援におけるコミュニティ・アプローチと他のアプローチの違い」について自分の言葉で説明できるようにまとめていきたいと思います。
「コミュニティ・アプローチ」とは?
「コミュニティ・アプローチ」とは、1965年にボストン会議で提唱されたコミュニティ心理学の考え方に基づく支援活動であり、臨床心理士の専門業務の一つである臨床心理学的地域援助に該当する。
つまり、「コミュニティ・アプローチ」とは、地域や共同体に働きかけることによって精神的・心理的な問題の発生を予防する活動(臨床心理学的地域援助)のことである!
「コミュニティ心理学」とは?
「コミュニティ心理学」とは、精神的障害を個人の問題に帰属せず、個人を取り巻く家族・友人・地域社会・共同体などの全体の問題として捉え、問題への対処も全体を対象として実施するという考え方がもとになっている。
つまり、「コミュニティ心理学」では、個人が抱える問題はその人を取り巻く社会環境の相互作用によって発生したものと捉えため、社会環境を改善しなければ、個人の問題も解消しないと考えるのである。
このように、コミュニティ心理学では、地域や共同体に働きかけることによって、地域内の人々の協力を得ることで、地域社会全体の環境を改善することにより、個人の精神的・心理的問題を予防することを目指している。
「コミュニティ・アプローチ」と他のアプローチの違いは?
コミュニティ・アプローチは以下の点において、一般の心理療法とは異なる↓
項目 | その他アプローチ | コミュニティ・アプローチ | 説明 |
支援対象 | 個人 | コミュニティ | 一般の心理臨床が「個人」を対象に支援を行うのに対し、コミュニティ・アプローチでは、「個人を取り巻く社会全体(コミュニティ)」を対象にした支援を行う。 |
視点 | 治療やセラピー | 予防 | 一般の心理臨床では「不適応状態の解消」を目指す心理療法的支援を行うが、コミュニティ・アプローチでは、「不適応状態の予防」を目指す予防的支援を行う。 |
活動の担い手 | 個人 | コミュニティ | 一般の心理臨床では「カウンセラー個人」が支援活動を担うが、コミュニティ・アプローチでは、「個人を取り巻く社会全体(コミュニティ)」が活動を担う。 |
目標 | 病的状態の改善 | 効力感の回復(=エンパワメント) | 一般の心理臨床では「クライエントの病的状態の改善」を目指すが、コミュニティ・アプローチでは、「個人の社会環境における自己効力感をエンパワメントすること」を目指す。 |
活動が期待される人 | 心理臨床の専門家 | 地域生産者 | 一般の心理臨床では「心理臨床の専門家」の専門的技能に期待するが、コミュニティ・アプローチでは、心理臨床を専門としない「地域生活者や他領域の専門家」のもつ能力や技能を活かすことを期待する。 |
態度 | 受動的支援 | 能動的・積極的支援 | 一般の心理臨床では、クライエントが相談に訪れた時に支援を開始するが、コミュニティ・アプローチでは、コミュニティに積極的に参加して信頼を得るなど能動的な活動が必要となる。 |
関わり方 | 直接的支援 | 間接的支援 | 一般の心理臨床では、カウンセラーによる心理療法のような直接的支援が中心であるが、コミュニティ・アプローチでは、活動を担う人々へのコンサルテーションや連携(リエゾン)の構築など間接的な支援が多い。 |
「臨床心理的支援におけるコミュニティ・アプローチと他のアプローチの違い」について自分の言葉で説明してみた結果
【臨床心理的支援におけるコミュニティ・アプローチと他のアプローチの違いについて自分の言葉で説明してみる!】
(コミュニティ・アプローチの概要を説明)
「コミュニティ・アプローチ」とは、1965年にボストン会議で提唱されたコミュニティ心理学の考え方に基づく支援活動であり、臨床心理士専門業務の一つである「臨床心理的地域援助」がこれに該当する。
コミュニティ心理学では、精神的障害を個人の問題に帰属せず、個人を取り巻く家族・友人・地域社会・共同体となどの全体の問題として捉え、問題への対処も全体を対象として実施することが望ましいと考える。
そのため、個人ではなく地域や共同体などの全体に働きかけることで、地域社会全体の環境を改善し、結果的に個人の精神的・心理的問題を予防することを目指しているのである。
(コミュニティ・アプローチと一般の心理臨床と比較しながら詳細説明)
<視点&目標>
一般の心理臨床が「不適応状態の解消」を目標とし心理療法的支援を行うのに対し、コミュニティ・アプローチでは、「不適応状態の予防」を目標とし、それらを実現するために個人の社会環境における自己効力感をエンパワメントするなどの予防的支援を行う。
<支援の対象>
そのため、支援の対象としては、一般の心理臨床が「個人」を対象に支援を行うのに対し、コミュニティ・アプローチでは、「個人を取り巻く社会全体(コミュニティ)」を対象にした支援を行う。
<活動の担い手&活動が期待される人>
活動の担い手は、「個人を取り巻く社会全体(コミュニティ)」であり、「カウンセラー個人」が支援活動を担う一般の心理臨床とは異なる。
そのため、一般の心理臨床が「心理臨床の専門家」の専門的技能に期待するのに対して、コミュニティ・アプローチでは、心理臨床を専門としない「地域生活者や他領域の専門家」のもつ能力や技能を活かすことが期待される。
<臨床心理士の関わり方>
そうした中での臨床心理士の役割としては、心理療法のような直接的支援ではなく、活動を担う人々へのコンサルテーションや連携(リエゾン)の構築などの間接的な支援を行うことが求められることになる。
<臨床心理士の態度>
そして、上記のような活動を機能させるためには、臨床心理士は受け身であってはならない。
クライエントが相談に訪れるのを待っているのではなく、コミュニティに積極的に参加して信頼を得るなど能動的な活動が必要となるのである。
以上、この記事が私と同じように臨床心理士指定大学院を目指していらっしゃる方と共有できましたら幸いです。
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