「クライエントを多角的に捉え、各テスト技法の欠点を相互補完するために、テスト・バッテリーは有用である」ってどういうこと?
これは、「テスト・バッテリー」について頭の中を整理するための覚書ノートです。(情報の追加など随時更新されます。)
テスト・バッテリーとは?
テスト・バッテリーとは、心理検査を複数組み合わせること、および組み合わされた検査全体のことである。
臨床心理査定における心理検査の目的は?
臨床心理査定における心理検査の目的は、クライエントの性格や行動などのパーソナリティの理解である。
なぜテスト・バッテリーが必要?
テスト・バッテリーが必要な理由は、「一つの心理検査で捉えられるパーソナリティは限定的」であり「各検査技法には固有の欠点がある」ため、これらを補完する必要があるから。
【テスト・バッテリーが必要な理由】
- 一つの心理検査で捉えられるパーソナリティは限定的
- 各検査技法には固有の欠点がある
テストバッテリーを組み複数の検査を並行して実施することにより、クライエントを多角的に捉え、各テストの欠点を相互に補完できるようになる!
テスト・バッテリーの基本の組み合わせは?
テスト・バッテリーの組み合わせに特別は決まりはない。
ただし、一般的に下記3種類の心理検査を組み合わせることが多い。
【一般的なテスト・バッテリーの組み合わせ】
- 投影法検査(=無意識レベルの心理的問題を探る)
- 質問紙法検査(=意識レベルの行動・性格特徴を探る)
- 知能検査(=知的能力・認知能力を推定する)
投影法を中心とするテスト・バッテリーについて
投影法のメリット&デメリット
【投影法のメリット】
- 無意識的側面が捉えられる(=パーソナリティを無意識的なレベルで評価できる!)
- 回答のバイアスが生じにくい
【投影法のデメリット】
- 検査結果の解釈に検査者の主観が入りやすい(=判定の正確さに疑問が生じる)
- 集団実施が困難
- 検査者の熟練が必要
- クライエントの心理的負担が大きい(=被験者は何を測られているか分からないため不安を抱きやすい)
- 言語能力に依存
そこで、投影法実施時には、質問紙法検査とのバッテリーを組むことがある。
- ロールシャッハ・テスト ※左右対称のインクの染みが何に見えるかを答えてもらう
- TAT(主題統覚検査) ※絵から自由に物語を創作してもらう
投影法検査実施時に「質問紙検査法」や「知能検査」とのバッテリーが組まれるのはなぜ?
投影法実施時に「質問紙法」とバッテリーが組まれる理由は、「質問紙法」が「投影法」の欠点を補うことができるためである。
また、「投影法」「質問紙法」に「知能検査」が追加される理由は、「知能検査」が「投影法」や「質問紙法」でも捉えられない”認知機能“を捉えることができるためである。
【質問紙法のメリット】
- 意識レベルの行動や性格特性を評価することができる
- 統計的処理による客観的解釈が可能
- 集団実施が可能
- 検査者の熟練に左右されにくい
【質問紙法のデメリット】
- 無意識的側面がとらえられない
- 回答のバイアスが生じやすい
- 言語能力に依存
このように、検査の種類を増やすことでクライエントの多くの側面を読み取ることができるようになる!
- MMPI(ミネソタ多面的人格目録)
- YG性格検査(矢田部ーギルフォード性格検査)
テスト・バッテリー実施上の留意点や注意点は?
テスト・バッテリー実施上の留意点や注意点は、ずばり「クライエントの負担を考慮すること」と「インフォームドコンセントが守られなければならないこと」である。
【クライエントの負担を考慮しなければならないのはなぜ?】
→強制的に自分の内面と対峙させられる心理検査は、強い精神的負担を伴うものとなりかねないから。
【インフォームドコンセントが守られなければならないのはなぜ?】
→検査する理由をクライエントに十分に説明し、クライエントの同意の上で検査を実施し、検査結果をわかりやすくフィードバックする必要があるから。
クライエントのより深く内面に接近する心理検査はクライエントの負担になるので、臨床心理査定において実施する検査は最大でも3種類程度に抑えることが必要である。
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以上、この記事を私と同じように臨床心理士指定大学院を目指していらっしゃる方と共有できましたら幸いです。
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